上に戻る
下に戻る

真宗大谷派の葬儀について

ー真宗大谷派の葬儀ー

昔から真宗門徒は、葬儀を生死無常のお知らせと受け取り、亡き人を偲びつつ如来のみ教えに遇う、尊い仏縁としてきました。

そして、その仏事をあらわすにふさわしい荘厳でなければ、葬俄の意義をお伝えすることが難しくなると共に、教え自体をゆがめてしまいます。簡素でも仏事にかなった荘厳によって、葬儀が営まれることが大切なのです。

  1. 枕経(枕勤め、枕直し勤行)について➡

  2. 納棺について➡

  3. 葬儀壇について➡

  4. 通夜について➡

  5. 葬儀について➡

  6. 中陰壇について➡

1 枕経(枕勤め、枕直し勤行)について

(1) ご遺体を仏間に安置する。

お内仏の前に遺体を安置する図

※お内仏がある場合のご遺体安置の一例

①ご遺体の位置は、基本的には御本尊(お内仏•お仏壇)の方角を西(西方浄土)向きとして扱い、御本尊に向かって右側(北向きとして扱う)に向けて安置し、顔を白布で覆います。(お釈迦さまの涅槃の姿に準じた形です)

※手は胸の上に組み、念珠をかけます。

※枕元に、一膳飯・枕団子・水•お茶などをお供えしたり、布団の上に守り刀等を置いている場面を見受けますが、浄土真宗では必要ありません。

(2) お内仏(お仏壇)のお荘厳について

・お内仏は、平常のお荘厳をします。

・お内仏に、燈明を点ける。(ご遺体を葬儀会場に移すまで常灯明)

※故人がきょうしき(おかみそり)を受けていない場合は、枕経の時、または葬儀前の適宜の時に「帰敬式」をして、法名を受けます。

②枕経が終わったら、中陰用のうちしきをかける(白地を基本とし、赤色・紫色のものは避けること)。ひんには、青葉を供える。

(3) 打ち合わせ

・住職と葬家と葬儀社間において充分に葬儀の打ち合わせをしてください。

2 納棺について

(1)通夜の前に、近親者で遺体の湯灌をし、白服(白い着物)、または生前に愛用していた清潔な服を着せて納棺します。

遺族、親族が人間の死という厳しい現実をいただき、生死無常と報恩感謝を肌身に感ずる大事な仕事です。

かたぎぬ(門徒袈裟)をご遺体に着用し、合掌した手に念珠をかけます。

(2) 真宗の教えでは、以下のようなことはしません。

・棺上に守り刀、或いは魔除けと称するものを置くこと。

・ご遺体と共に、共人形を入れること。

・ご遺体に旅装束(死装束)と称して、手甲、脚半、草鞋、頭陀袋、杖、六文銭や三角の布を付けさせること。

3 葬儀壇について

古来、葬儀は「野辺の送り」といって、自宅から葬列を組んで葬場に向かい、そこでお勤めをするために、じょくみつそくひんきんこう・鶴亀(しょくだい)】を飾りました。その野卓が、現在における葬儀壇の基本です。ですから、浄土真宗の通夜・葬儀では、本来、壇飾りの必要はありませんし、華美に飾ることもいりません。

葬儀壇・野卓の絵

※葬儀壇・野卓の一例

(1) 葬儀檀について

①浄土真宗の通夜、葬儀は、御本尊(阿弥陀如来・名号)を中心に行いますので、御本尊は参列する誰もが拝むことが出来るように、祭壇の中央上部に安置してください。

※写真(遺影)などを置く場合には、御本尊が隠れないように注意してください。礼拝すべきは写真ではなく御本尊です。

※葬儀壇の準備や後片付けの時も、御本尊は丁寧に扱ってください。持ち運びの際など、物として雑に扱うことのないようにしてください。

②葬儀壇の内から順に、すぎもりを一対、こんぺいを一対、または二対を供える。

※根菓餅があれば、他に御供物はいりません。

の形は、円柱型(真宗大谷派の場合)につくります。(下イラスト参照)

葬儀壇・野卓の絵

・供花の色は白色を基本とし、トゲのある花やツルのもの、強い香りのもの、造花は用いません。

※葬儀檀横に供花を置く場合も白色を基調

(2) 棺について

④棺は御本尊に向かって頭を右側に向けて安置する。

※御本尊の方角を西向きとして扱うため

・棺の蓋の裏にかんじょを貼る。(各寺が用意する)

・葬儀式の時には、棺の蓋、小窓を閉める。

棺の上には棺覆いとして七条袈裟並びにおうをかける。(しゅはのせない)

七条袈裟並びに横被の絵

(3) 野卓について

野卓には三具足を配置する。【㊧ひん・㊥きんこう・㊨鶴亀(燭台)】

⑤花瓶の置き場所は、じょくの足の中心に合わせる。

・花瓶の紋は、内側がはっとうもん、外側がたんもんにあわせて配置する。(下イラスト参照)

花瓶の絵

は金銀、または白色の厚紙を段切りし、竹に巻いたものを4本入れる。(下イラスト参照)

紙花の絵

きんこうろうの紋は八藤紋を正面にし、蓋はこうごうの左側に平行にして配置する。

三具足の絵

※金香炉の前に香盆を置くとき

三具足の絵

※金香炉の横に香盆を置くとき

⑦蝋燭はぎんだめか白色を使用する。鶴亀の置き場所は、野卓の足の中心と鶴亀の鶴の足を揃えて配置する。

れんじくは、㊧蕾・㊥実・㊨葉(下イラスト参照)

蓮軸の絵

・ライター・線香・火消しなどは、野卓に置かない。

(4) その他

きょくろくは野卓に近付けすぎない。

・一般焼香に土香炉は使用しない。正式には金香炉を使用のこと。

※土香炉は線香を焚くもので焼香の仏具ではない。

4 通夜について

通夜とは、遺族をはじめ縁のある者が夜を通して葬儀までの間、静かに故人の生前のことを追憶して、故人を見守るというのが本旨です。

ですから、お勤めの間だけを通夜というのではなく、身近な人の死という現実を謙虚に受け止め、日ごろ忘れがちな「しょう」の問題について、深く考える一夜にしていただきたいものです

しきだいは、住職と相談してください。

5 葬儀について

本来、浄土真宗の葬儀式は、参列する一人ひとりが、生きる意味を仏さまの教えに問いたずね、真実のみ教えに遇う仏事として、大切に受け止めてきました。

以前は、まず自宅のお内仏(お仏壇)の前で出棺の勤行を行った後、参列者が行列を組んで葬場へ向かい(これを野辺送りという)、そこで葬儀のお勤めをしました。そして、最後のお別れの後、火葬をしました。

葬儀の式次第については、次のように一例を申し上げます。事前に葬儀を執行される住職と十分な打ち合わせをし、確認してください。

・喪主、親族など参列者の焼香の際は、導師に対して一礼はしない。

・導師の入退堂の際に、導師への合掌は必要ありません。

・清め塩は使わない。

・司会者は「冥福」の文言は使用しない。「霊前」は「仏前」、「天国」は「浄土」などにすること。

・弔辞、お別れの言葉などをされる方であっても、その際に焼香はしない。

・焼香の際に、導師と伴僧の間を通路としない。

・還骨勤行は、火葬後に行うこと。葬儀直後(火葬前)に、引き続き行うことは決してありません。

真宗大谷派(東本願寺) 葬儀式

(式次第一例)

❶総礼

例「只今より法名○○ 、俗名○○ 様のご葬儀を開式いたします。御導師に合わせて合掌をお願いいたします。」

(導師)合掌→「一同合掌」

(導師)合掌をとく→「お解きください」

❷伽陀先請弥陀     

❸勧衆偈

❹短念仏

十遍

❺回向

我説彼尊功徳事

❻総礼

※導師の所作に合わせて合掌

❼三匝鈴

打上・打下・打上

❽路念仏

❾三匝鈴

打下・打上

❿導師焼香

⓫表白

⓬三匝鈴

打下(弔辞)弔辞・弔詞者はこの時、焼香はしない。前に出る際に導師に向かい合掌、帰りの際はそのまま下がる。

⓭正信偈

中読又は真読(喪主以下焼香)※喪主・親族は参列者に対して立礼しない。葬儀最後に喪主の挨拶があるので、儀式中の立礼はしない。喪主は心静かに葬儀に出合ってください。

⓮短念仏

⓯三重念仏

⓰和讃

⓱回向

願以此功徳

⓲総礼

(導師)合掌→「一同合掌」(導師)合掌をとく→「お解きください」(弔電披露)

6 ちゅういんだんについて

中陰壇の絵

お内仏がある場合の中陰檀の一例

中陰壇の絵

お内仏がない場合の中陰檀の一例

中陰の期間は、自宅のお内仏(お仏壇)の近くに中陰壇を設けます。

・中陰壇には、法名・みつそく・遺骨・遺影を安置します。

・蝋燭は白色を用います。

・仏華は樒、または青葉を用います。

・真宗では、塗りの位牌は用いません。

※お内仏がない場合や、仏間に中陰壇を設置できない場合などは、住職に相談してください。

この手引きは真宗大谷派の儀式作法に基づき、静岡地域の実情に鑑みて作成したものです。