有度山麓9条の会ニュース
第24号(2024/5/15)

 

9条の会マーク

9条をもつ平和国家が戦闘機(武器)を
輸出してもいいのでしょうか?

  合戸 政治

岸田首相は、イギリス、イタリアと3か国で共同開発している次期戦闘機を第3国へ輸出することができるよう閣議決定をしました。当然のことながら大きな反対の声が起こりました。朝日新聞3月全国世論調査では反対が45%と、賛成40%を上回っています。当然です。今まで、殺傷兵器は輸出することができないというのが、平和憲法をもっている日本の方針だったからです。最近のことでも、ウクライナ支援は、防弾チョッキやヘルメットなど、防御的なものだけで、殺傷兵器は控えたのです。これも武器輸出には変わりなく、一歩踏み越えた措置には違いないけれども、戦闘機の場合は次元が違います。今の戦闘機は、第2次世界大戦時の戦闘機とは比較にならないほど強力な戦力を持っています。ミサイルを何本も携行している爆撃機でもあります。戦闘爆撃機なのです。

次期戦闘機

日本で製造された戦闘機が、第3国へ輸出され、それが戦闘で使われ、多くの人が殺傷されたら、平和国家日本のブランドは地に落ちるでしょう。

岸田首相は、輸出先はよく検討し戦争当事国には売らないし、どこに輸出するかは個々に検討しさらに閣議決定する。二重の閣議決定でそういうことがないようにすると言っています。しかし、これはその保障にはなりません。状況は変わりうるので輸出時点では戦争をしていなくても、将来戦争に参加することは十分あり得ます。しかも、閣議決定と言っても、内閣だけの密室で決められるわけで、国会で公開で議論されるのとは違います。密室討議は何度やっても国民の意見を聞いたことにはなりません。

憲法9条は、戦争放棄、交戦権の否認、さらには戦力不保持を謳っています。日本が戦後75年以上にわたって、日本が戦争に巻き込まれるのを防いできました。この9条があったために、日本人は、70年以上にわたって国権の発動たる戦闘行為で一人の外国人も殺さず、一人の日本人も殺されなかったという世界に誇るべき歴史を持っています。中曽根内閣の時(1987年)、アメリカから「ペルシャ湾に掃海艇を派遣してほしい」という要請がありました。しかし当事の官房長官後藤田正晴氏は、戦争に巻き込まれることを懸念、憲法9条に違反するからと職を賭して反対しました。そのため中曽根首相は派遣を諦めたのです。(その後内閣が替わりペルシャ湾派遣が行われましたが)

憲法9条は、日本の平和を守っただけではありません。戦争をしない国日本を世界にアピールしました。平和国家日本というブランドは、日本と戦争をした国や、日本に侵略された国と戦後経済的なつながりを回復する為の平和な環境づくりに大きく貢献し、経済大国日本の繫栄をもたらす大きな力になりました。しかし、その経済大国に陰りが出てきたことと重なるようにして、平和国家日本も大きく変質してきました。戦争政策への大転換があったからです。

とりわけ2015年の安保法制は、日本の国の在り方を変えたものだと言っても過言ではありません。日本が直接攻撃されなくても、日本と密接な関係にある国が攻撃された場合、日本は攻撃した国を攻撃できるという「集団的自衛権」を認めたのです。「戦争をしない国」から「戦争ができる国」に変わりました。成立直後、英BBCは「海外での軍事的役割拡大」、米CNNは「平和主義を放棄」などと報道しています。 また2022年12月に閣議決定された「安保3文書」(閣議決定されただけで、未だに国会で承認を受けていません)は、今後5年間で防衛予算を倍増(GDP比1%から2%へ)する。その合計は43兆円、そして敵基地攻撃能力(反撃能力と言っていますが)を保有するなどの大軍拡で、今まで日本が国是としてきた専守防衛を自ら投げ捨てるものとなりました。安保3文書は、武器の開発やその結果としての軍需産業の育成も大事な政策だと位置づけています。

今回の次期戦闘機の輸出は、2015年、2022年の日本の防衛政策の大転換の延長線上にあります。開発コストを下げるだとか、共同開発する国からの要請があるからだとか、いろいろ理由を挙げていますが、最大の狙いは三菱重工業など我が国の防衛産業の育成にあります。 三菱重工業は、パトリオット・ミサイルのアメリカからのライセンス生産をしていますが、今回逆にライセンス国米国に輸出することになりました。アメリカのパトリオット地対空ミサイルがウクライナに出払っている穴を埋めるための輸出となりました。

軍需産業が儲けて巨大化すれば、日本の産業構造、経済構造は大きく変わってしまいます。そして、徐々に平和国家日本から戦争国家日本へと変質していきます。

なんとしても、戦闘機の海外輸出は止めさせ、平和国家日本を取り戻しましょう。

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